本院日記51
立春を迎えても、まだ寒い日が続いております。今回は「立春と食べ物」というテーマです。
- (卵)
- 実はこれは食べるわけではなく、立春の日には「卵が立つ」と言われています。卵は鶏卵のことです。・・・ですが実はこれ、いつでも誰でもできます。立春の頃の特別な気候条件(気温や気圧)の絶妙なバランスにより、黄身の中心が下がり、奇跡的に立つはずないものが立つ!…というものでしたが、科学的根拠は全く無かったのです。時間をかけて、そーっと立たせれば立ちます。無理だと思い込んでやらずにいたものは、実はやってみればできることだったのです。人々の固定観念を打ち破った良い例なのではないでしょうか。
- (立春朝搾り)
- 食べものというよりは飲み物、お酒です。節分の夜から一晩中かけてもろみを搾り、立春の朝に搾りたての生原酒を作り上げます。その搾りたての原酒を立春に頂くというものです。新しい季節(一年)の始まりに、立春の日に生まれたての原酒を飲むことは、とても縁起の良い物とされておりました。
- (和菓子)
- 立春の日に和菓子屋さんに行ったことはありますか?そこにはこんなものが置いてあったりします。「立春大福」などと呼ばれる縁起物の和菓子です。和菓子屋さんは「二十四節気」にちなんで季節の移ろいを映したお菓子を作っているのです。また、かの有名な「赤福」では「立春大吉餅」と呼ばれる黒大豆と大豆の二種類の豆を使用した豆大福を、2月1日にだけ発売されます。立春の日は是非和菓子屋さんに行ってみてください。
- (魚介類)
- 前日の節分は鰯。翌日の立春では「サザエ」や「イワナ」を食べます。この頃のサザエは産卵期を迎え、一番美味しい時期になります。またビタミンB1、B2、アミノ酸、タウリン、鉄分、コラーゲンなど、沢山の栄養物質も含まれており、疲労回復や美肌に効果があります。イワナはこの立春の時期から釣れるようになります。淡水魚であり、「イトウ」と同じように幻に近い魚と呼ばれています。この時期に食べるのは少し難しいかもしれません。イワナの卵は「黄金イクラ」と呼ばれるほどで、まるで黄金のように美しい卵です。とても縁起の良い魚です。
- (豆腐)
- 古来から白い豆腐には、邪気を追い祓うほどの霊力が宿ると言われています。立春前(節分)に食べる豆腐は、それまでの罪や穢れを祓い、立春当日に食べる豆腐は、健康な体に幸福を呼び込んでくれるという意味があります。
本院日記50
境内も正月モードから通常モードへ変わっていきました。元旦から三が日まで大教殿前は参拝者の列が途切れる事なない位に賑わっておりました。「福みくじ」「夢みくじ」も大変好評で、大勢の方に引いて頂きました。
おみくじは、昔、後継者選びや、国の祭事・政といった重要事項を決定する際、神様の御声を聴くための道具として用いられていた”籤(くじ)”が起源だと言われています。
「くじ」については、箱などから引き当てるため、えぐったものを中から出す意味の「くじる」という言葉が転じて生まれたといった説が有名です。
個人の吉凶を占うようになったのは、鎌倉時代初期からだそうです。引いた後の神籤を、境内の木の枝などに結ぶ習慣があります。「結ぶ」が恋愛の「縁を結ぶ」に通じることから、江戸時代から行われてきました。その後、神様との「縁を結ぶ」として木に結びつけられるようになったのです。また、凶のおみくじは、利き手と反対の手で結ぶことにより、「困難を達成した」とみなされ、吉に転じる、という説もあります。
よく「凶」が出たとショックを受ける方が多いのですが、凶が出たから気を付けようぐらいに受け取れば良いと思います。逆に、凶が出たおかげで、油断しないで、今まで以上に気を引き締めて行動すれば、成功する確率が上がります。油断して失敗するよりも、凶だと知って、行動を変えれて成功するチャンスですよ。
本院日記49
新年を迎えた境内には、初詣の参拝者で賑わっております。朝から晩まで神鈴を鳴らす音が途切れる事がありません。5人組の方がおみくじを引かれ、その中の一人が「凶」が出たと騒いでおりました。たまたま通り掛かったS戸先生が、こんな声を掛けておりました。「おみくじは、どのように過ごせばいい方向へ向かえるか、という神様からのお告げなので、大事なのは吉凶の結果ではなく「何が書いてあるのか」という事なのですよ。
「凶はその年が悪いという意味ではなく、どう過ごすべきかという教訓と捉えてくださいね」と教えていました。全員が「そうなんだー」、と納得されて読まれていました。
続けて、おみくじを結ぶ理由も説明して下さいました。「おみくじを結ぶのは、結ぶという行為自体に意味があり、これは神様と縁を結ぶとされています。生きている木にたくさんのおみくじが結んであるのを見たことがあると思いますが、《木には神や精霊が宿るとされ、その生命力の高さにあやかり願い事がしっかりと結ばれるように》という意味もあります。
本院には、おみくじを結ぶ専用の場所があるので、それに結ばれて下さい。」と教授しておりました。今日(凶)よりも明日だ!と笑い飛ばしてくれるS戸先生でした。
本院日記48
新年あけましておめでとうございます。本年も宜しく御願い致します。先日、U村さんから、こんな話をして頂きました。
『初夢は1富士2鷹3茄子が良い』と誰もが聞いたことがあると思います。「富士→無事」、「鷹→高い」、「茄子→成す」の意味がありますよね。実はこれには続きがあったのです。
『 4 扇 5 煙草 6 座頭 』というのです。
扇「おうぎ」煙草「たばこ」座頭「ざとう」の事です。
ちなみに、1富士2鷹3茄子と4扇5煙草6座頭はお互いに対応しており、『富士』と『扇』は(形が)末広がりで子孫や商売の反映を意味。『鷹』と『煙草の煙』は上昇して行くので運気上昇を意味。『茄子』と『座頭』は二つとも『毛が無い』ことから『怪我が無い』と家内安全の意味を表しており、お互いに対応しているという説もあります。
初夢とは、新年のある夜に見る夢の事です。この夢の内容で、1年の吉凶を占う風習がある。字義どおりに新年最初に見る夢とされることは少なく、現代では元日(1月1日)から2日の夜、または、2日から3日の夜に見る夢とされることが多いです。
U村さんの好物の中に茄子があるそうです。茄子には高酸化力があります。いつもパワフルで若々しいのは、そのせいかもしれませんね。
本院日記47
今年も残す所、あと僅かとなってまいりました。本院の境内も秋から冬へ移行を進めております。
冬至は二十四節気のひとつで、1年でもっとも昼が短く、もっとも夜が長い日です。
今年は12月22日にあたります。太陽の力が弱くなるとされたこの日に、にんじん、れんこんなど、「ん」のつくものを7種食べると運がつくという言い伝えがあります。冬至を境にふたたび日が長くなり、新しい太陽が輝くことから「一陽来復」ともいわれ、田畑に再生の力をもたらす神聖な旅人がくる日と信じられていました。
冬至にはかぼちゃやこんにゃくを食べて柚子湯に入る習慣があります。冬至にかぼちゃを食べるのには、中風(脳卒中)や風邪を引かないとか金運を祈願する意味があるようです。また、冬至かぼちゃは朝のうちに食べるとよいとか、四つ前(午前10時)に食べるとよいという地域もあります。こんにゃくを食べるのは一年間たまった砂下ろしをするためらしいです。
「冬至にかぼちゃ」は現代的に解釈すると、緑黄色野菜の少ない冬にカロチンやビタミンの多く含まれるかぼちゃを食べ、風邪等への抵抗力をつけようとした先人の知恵だと言えます。実際にかぼちゃには、体内でビタミンに変化するカロチンがたっぷり含まれています。ビタミンAは、肌をツヤツヤにし動脈硬化の予防(中風予防)
になるだけでなく、皮膚や粘膜、視力、骨や歯にも効果があるものです。かぼちゃを食べて風邪知らず!
昔の日本では冬至のころになると秋野菜の収穫も終わって、食べられる野菜もほとんどなくなっていました。そこで元気に冬を越せるようにと願いを込め、栄養もあって保存もきくかぼちゃは特別に大切にして、食べていたようです。
冬にビタミンなどの供給源が不足した時代のかぼちゃは貴重なものだったといえます。
今は保存しなくても季節が日本と逆のニュージーランドなどから輸入物が豊富に入ってきます。だから貴重品ではないけどこの時期食べるといいですね。
冬至に「ゆず湯」に入りますよね。寿命が長く病気にも強い柚子の木にならって、柚子風呂に入って無病息災を祈る風習になったと言われています。実際ゆず湯は風邪予防にも効果が高いようですよ。
本院日記46
本院の境内では正月に、「ぜんざい千食ふるまい」「豚汁ふるまい」が行われます。事前の準備から片付けまで「道しるべ教会」の皆様が奉仕して頂いております。材料の下ごしらえなど、教会長婦人(婦人会の中でも目立つ方です)が先陣を切ってテキパキ進めております。今回は「ぜんざい」「豚汁」のお話です。
ぜんざい(善哉)は、主に小豆を砂糖で甘く煮て、この(汁の)中に餅や白玉団子、栗の甘露煮などを入れた日本の食べ物です。ぜんざいの由来には諸説ありますが、その中に、出雲地方の神事「神在祭」で振る舞われた「神在餅」を由来とする説です。「神在餅」の「じんざい」が訛り、「ぜんざい」へと変化したと言われております。島根県のとある神社では、十一月二十五日に神々をお送りする神等去出(からさで)神事が執り行われます。この日はカラサデさんといわれ、神前に供えていた餅と小豆を一緒に煮て小豆雑煮を作り再び供えていました。これを「神在餅(じんざいもち)」と呼び、今も宮司宅では家例としてこの日に小豆雑煮を作り、屋敷内の祖霊社、稲荷社、邸内の歳神にお供えいたします。昔は里人の間でもこの日の朝に餅をつき参拝する慣わしがあり、参拝するものは必ず一重ねのオカガミ(餅)をもって参った後、小豆を入れた雑煮餅を作って家の神棚に供えてから銘々も頂く風習があったようです。この「神在餅」が転化して「ぜんざい」になったといわれているのです。
豚汁の発祥も諸説ありますが、豚肉を具材として使用する特徴から、明治時代以降に発達した料理とみられております。ある説として、旧日本海軍においてカレー粉の代わりに味噌を入れて作ったことから始まったという説があります。地域により呼び方も変わっています。「とんじる」は東日本、「ぶたじる」西日本、北海道で呼ばれているそうです。
「ぜんざい」「ぶたじる」は本院の名物として定着しました。教会長を始め、御奉仕下さいます皆様、本当に有難う御座います。